Tuesday 30 March 2010

55.エピローグ ~レーにて

 僕は朝、目を覚ました。いつものように朝食を食べる。一仕事終えた後の脱力感の中に僕はいた。

breakfast

朝食です。

 今日はレーの街をふらふら一人で歩く事にした。レーの中にあるマスジドに向かう。

masjid in Leh

マタムサラ・マスジド。
バルティ系シーア派のマスジド。

 
masjid in Leh

ジャマ・マスジドとレーパレス。
レーの街で一番大きいスンニ派のマスジド。


 僕はレーの街の裏にある岩山に登って見る事にした。

Namgyal Tsemo

岩山の頂上にあるナムギャル・ツェモ。

buddha

ツェモ・ラカンの中には仏像があった。

 僕は岩山からレーの街を一望しながら座りこむ。風が心地いい。僕には行きたい場所がたくさんある。知りたい事がたくさんある。僕の知りたい事の一つはある答えだ。紛争をなくす方法を人類は有史以前よりずっと考えてきた。人類は今もその答えを出すことができない。それはなぜなのか?哲学者カントの残した言葉にその答えの指標が含まれているかもしれない。「答えを出すことが出来ない理由は、私たちは日々この質問に対する答えを生きているからだ」答えは日々上書きされていって、普遍的な答えはありえないのではないか?そんな事を考えると、なんだかいたたまれなくなる。正義とは何だろう。平和とはなんだろう。神とはなんだろう。人間とはなんだろう。

Beautiful Leh

レーの街の眺め。

 僕は岩山を降りた。

masjid in Leh

チュタランタク・マスジド。
バルティ系シーア派のマスジド。


 僕はレーの街の職人たちを尋ねる。

Bakery in Leh

パン職人。

Sewing shop in Leh

裁縫屋。

Gold shop in Leh

ゴールドの店。

 ジミーの家に戻って昼食にする。

Bhaat

バトゥー。

Momo

モモ。

 僕は昼食を食べ終えるとジミーに聞く。
「これからどうする?」
 ジミーが答える。
「チクタンエリアを越えて、バルティスタンにでも行こうか。」
 僕は言う。
「オーケー、どこまででも行くよ。」

 開け放してある窓から一匹の蝶が入ってきた。

                終わり

Monday 29 March 2010

54.チクタン村ムービー

 僕たちはサンジェルンマ沿いに車を走らせ左手に架かる橋を渡りチクタン村に到着する。チクタン村でラジーを降ろす。チクタン村最後の日の模様を僕はムービーに残した。



チクタン村は文化的な昔ながらの生活が色濃く残っている村です。チクタン村の名を外界に轟かせている有名なものがあります。それはフォークダンス、フォークソング、この歌などにも使われている詞を語る語りべたちです。もしチクタン村に訪れる事があるのならば、あなたはこれらを体験する事で非常に有意義な時を過ごせるでしょう。叙事詩を歌い上げる叙情豊かなフォークシンガーたちはいろいろな村から招待され、これを披露しています。

 もしあなたがチクタン村に滞在する事がありましたら是非見て欲しいものがあります。チクタン城です。チクタンエリアではラジー・カルとも親しみを込めて呼ばれています。昔々このエリアはカーンによって征服され、彼がチクタン王国を作り上げました。バルチスタンから建築家を呼び寄せて造られた城がチクタン城です。この城のできばえがあまりにも良すぎたので、王はこの技術を外に持っていかれないように建築家の両腕を切り落とす計画をたててたほどなのです。

 もしあなたがチクタン村に滞在する事がありましたら是非見て欲しいものがあります。それはチクタンエリアに多数点在している村々です。この村々は地図に載っていないものもふくめると非常にたくさんあり、今まで外国人の立入りができなかったので、他のラダックではみられない興味深いものがたくさん見られます。それは是非あなたの手で多くの事を発見して欲しいのです。

 もしあなたがチクタン村に滞在する事がありましたら是非感じてください。この地区は新しく外国人観光客に解放されたばかりです。アジアのインド北部の山岳地帯の小さな村から感じ取れるものを、たくさん得てきてください。それはこの村の人たちも望んでいる事なのですから。
 

 

 僕たちはラジーを村で降ろすとチクタン村を後にした。本日中にレーに戻りたかったので帰路を急ぐ。カングラル、ヘナスクを通過する。もうあたりは暗くなり始めている。フォトゥ・ラの峠を越える。ラマユル、カルシ、ヌルラを通過する。周りはもう真っ暗だ。僕たちは車を走らせる。ウレトポ、サスポル、バスゴ、ニムを通過する。僕たちはレーへ急ぐ。レーの町灯りが見えてきた。そしてレーに到着した時、僕は時計に目をやった。夜11時30分。どうやら僕たちは今日中に到着したらしい。その夜、僕たちはブランケットに包まれていい夢を見た。たぶん。

Sunday 28 March 2010

53.レーへの道

 僕たちはカルギルを後にして車を進める。しばらく進むとパスキュン村が渓谷の中に見えてきた。パスキュン・マスジドに入り礼拝をする事にした。

Paskyum village

パスキュン村。

Paskyum masjid and old man

パスキュン・マスジド。

Inside Paskyum masjid

パスキュン・マスジド礼拝堂。

Inside Paskyum masjid

パスキュン・マスジド礼拝堂の別角度。

 僕らは礼拝を終えるとパスキュン村を後にした。ロッツェン村、ムルベク村を通過する。ワカ・ワドゥー村で昼食をとる事にした。

Shop in Wakha villge

ワカ・ワドゥー村のレストラン。

Shop in Wakha villge

ワカ・ワドゥー村のマーケット。

Bhaat lunch

昼食のバトゥー。

 僕たちは昼食を食べ終えるとワカ・ワドゥー村を後にした。そして車を進める。ナミカ・ラの峠を越えてカングラルのチェックポストを左方向へ舵を取り、サンジェルンマ沿いをチクタン村へ向かっている。

Saturday 27 March 2010

52.ゾジ・ラを越えてカルギルへ

 ソナマルグ村の到着する。僕たちはここで昼食をとる事にした。

Shop in Sonamarg village

ソナマルグル村の売店。

Fruits shop in Sonamarg village

フルーツショップ。

Kashmir bread and scrambled egg

カシミールパンとエッグにコーヒー。

aloo paratha is good taste

アルパラタ。

 僕たちは朝食を食べ終えるとソナマルグ村を後にした。しばらく車を走らせゾジ・ラのゲートに到着した。雨も上がり峠のゲートがオープンするまで待つ。

waiting open gate at Zoji La

ゲートオープンを待つ車列。

 待つ事2時間あまり、ゾジ・ラがオープンしたので車を走らせる。行きと違い、帰りは昼間の通行なので比較的峠越えは楽だった。途中スピードの出しすぎのためかクラッシュしている車や、ぬかるみにはまり込んで動けなくなった車も数台あった。行きは真っ暗で景色が見えなかったけれど、帰りにまじまじと見る事が出来るゾジ・ラの景色はまさに絶景だった。

horses at Zoji La

草を食べる馬。

Zoji La

ゾジ・ラ。

 ゾジ・ラを越えて川沿いに車を走らせる。徐々にラダック側のドライな景色に変わってくる。

Zoji La to Kargil

ゾジ・ラを抜ける。

 そして僕たちはカルギルに到着した。

Kargil

カルギルの街。

Friday 26 March 2010

51.さよならスリナガル

 僕たちは朝、目を覚ました。ジミーが携帯で話をしている。携帯を切るとジミーが言う。
「悪天候で通行止めだったゾジ・ラが今日はオープンするかもしれない。」
 僕たちは今日レーに戻る事に決めた。さっそく帰り支度をして車に乗り込む。

House boat

ハウスボート甲板。

Jhelum river

ハウスボート甲板からの眺め。

House boat

僕たちの部屋。

 僕たちはゾジ・ラに向けて車を走らせる。スリナガルを出たあたり、雲の間に晴れ間が見える。

Srinagar Nature

広大な農地の向こう側に山がそびえており、雲がちぎれた綿菓子のように山に絡まっている。

 羊の群れが行き先を阻む。僕たちは羊がいなくなるまで、のんびりと待つ事にした。

Kasimir in the mountain

羊の群れ。

 僕たちは先に車を進める。川には古く変わった形をした木製の橋が架かっていた。

Kasimir in the mountain

木製の橋。

 僕たちは山岳地帯のマスジドの間を次々と駆け抜ける。

Masjid,Kasimir in the mountain

マスジド。

Masjid,Kasimir in the mountain

マスジド。

Masjid,Kashmir in the mountain

マスジド。

 途中後ろに沢山の荷物を積んでふらふら走っているバイクを追い越す。

Kashmir in the mountain

沢山の荷物を積んだバイク。

 馬の集団も追い越す。

Kashmir in the mountain

馬の集団。

 人をたくさん積んだ小さなバスも追い越す。

Kashmir in the mountain

人を積んだバス。

Thursday 25 March 2010

50.スリナガルの診療所とその夜

 僕たちは昼食を食べ終えると、アクタルを病院に連れて行く事にした。雨がより激しさを増して降っている。雨具を持っていないので、このままアクタルを連れて行くと風邪を引いてしまうかもしれない。僕たちは考える。ジミーが大きいビニール袋をはさみで切り始めた。切って穴をあけたところにアクタルに顔と手を入れながら袋をかぶせる。なるほど簡易レインコートの出来上がりだ。

Child in raincoat

アクタルのレインコート。

 僕たちはみんなで診療所に向かう。30分ほど雨のスリナガルの中を車を走らせて診療所に到着する。スリナガル滞在の初日に訪れた時は診療所が休みだったのだ。アクタルのかかりつけの診療所は雑居ビルの二階にある小さなところだった。全員で行っても狭い診療所の中邪魔になるだけなので、僕は車の中で待つ事にした。駐車場がないので小さな店の前に止めて、みんなは診療所に入っていく。しばらくして車が具合が悪い場所に止まっている事に気づく。測道を遮るように車を止めているのだ。始まりは5分後だった。カシミリアンが車に近づいてきて、
「こんなところに車を止めると邪魔じゃないか」
 と言う。僕は
「すまない」
 とあやまり、
「連れが戻ってくるまで許して欲しい」
 と答える。こんどは目の前の小さな店から店主とその友人と思われる人たちが出て来る。店主はかなり興奮した様子で僕に向かって腕を大きく振り上げ
「商売の邪魔だからどいてくれ」
 と言う。僕は彼らに
「僕は日本から来たツーリストだ。運転手が戻ってくるまで待って欲しい」
 と言う。そうすると店主の友人とおぼしき人は
「ヒロシマ、ナガサキ」
 と言うと僕に握手を求めてくる。
「こいつはいいんだ」
 と言うような事を言いながら、また興奮して何かを言おうとした店主を鎮めてくれた。
 しばらくすると軍人がやってきて
「車を移動しろ」
 と言う。僕はまた
「日本人のツーリストだ」
 と告げると、その軍人はさきほどの人と同じように
「ヒロシマ、ナガサキ」と言うと握手を求めてきた。ついには
「オーケー車はここに止めても問題ない」
 とも言ってくれた。
 まったく一人で車で待っていても退屈しない。沢山の訪問者がやって来る。その度に自己紹介をして握手を求められる。昔々、欧米諸国に果敢に立ち向かっていって散っていった日本の姿は、カシミリアンの心に深く共鳴しているようだった。

Srinagar in the rain

車の中から見る雨のスリナガルの街。
まるでリドリー・スコットの映画のワンシーンのようだ。


 一時間ほどしてみんなが戻ってきた。アクタルの経過は、以前来た時よりも良好という事だった。リハビリのやり方などを教えてもらっていたらしい。

Medical certificate

アクタルの診療内容。

 僕たちはみんなをハウスボートに送っていき、僕とジミーはスリナガルの夜に繰り出す事にした。僕たちはダル湖に向かう。相変わらずダル湖には雨なのに国内からの観光客が多く、夕暮れのライトアップに浮かび上がる船は美しかった。

Dal lake

夕暮れのダル湖。

Dal lake

夕暮れのダル湖。
遠くに並んでいるハウスボートが美しい。


 僕たちは夜のカティダルワザ・グルドワラに向かった。マスジドの周りにたくさん露天が出ている。

foodstall

カバブ。

foodstall

カンチ。

Gurdwara

カティダルワザ・グルドワラ。

 僕たちはカティダルワザ・グルドワラを後にしてハウスボートに戻る。夕食がすでに出来ていて、僕たちはそれを食べ終えると、シャワーを浴びて眠りに入る。

Bhaat

チャシャ・フード。

Wednesday 24 March 2010

49.プラタップ博物館にて

 朝食を食べ終えると僕たちはみんなでプラタップ博物館に向かう。博物館はハウスボートから川を挟んだすぐ南にあった。敷地内には図書館も併設されている。この博物館は歴史が古く1898年に開業しているのだ。僕たちは博物館に入っていく。
部屋ごとにセクションが分かれている。

硬貨を原稿
ミニチュア絵画
古書
古い武器
楽器
家具や装飾アイテム
テキスタイルとカーペット
古い革、グラスの製品
彫刻、タイルなどの遺物
動物剥製、
発掘された様々なカシミール遺跡と仏教遺跡

 カシミール遺跡や仏教遺跡のセクションは大変面白かった。カシミール地方は紀元前にはアショカ王時代のカシミール文化。テラコッタなどの発掘品からみられるキリスト前文明の跡。数々のガンダーラ美術。これらの文明文化がリンクされていた時代のものが沢山展示してあり壮観だった。これらの文明文化後、14世紀にイスラム教がこの地域に入って来る。この地域ではイスラム教は新しい宗教なのだ。良く言えば斬新な宗教だったのだ。彫刻は他にもラダック美術ものも沢山展示してある。ラダックものでは土で焼いた粘土版が多かった。

 装飾美術工芸品のセクションはホーロー、ガラス、セラミックなどカシミール、ラダック、ギルギット、ジャンムーからの実用品が沢山展示してある。

 古書のセクションはみるからに貴重な古いコーランがガラスケースの中に大切に保管してある。ペルシア語、カシミール語、アラビア語、サンスクリット語など多くの言語で書かれたコーランがある。色鮮やかなカシミールコーラン。さまざまな時代につくられている書物の素材も皮からシルクまで数多くのものが展示してあり興味が尽きない。

 金属製品のセクションはエナメルウェア、スズ&銅器、銅器、亜鉛の陶器、真鍮製品、鉄&ナイフ、ホワイトメタル、ターコイズウェアとチベット製品などたくさんの製品が展示してあり、まさに文化文明の交差点のようなカシミール地方なのだ。

 ファブリックのセクションはショール、タペストリーなどの布製品で作り方も、ツイル織り、カシミア製品、精巧な刺繍などたくさんの製品が展示してありいろいろな文化の融合が感じられた。

Pratap singh museum

プラタップ博物館

 僕たちは博物館をゆっくりじっくり見終わると、もう昼になっていた。車に乗り込みハウスボートに向かい昼食にする事にした。晴れていれば甲板上で調理をするのだが、雨が降っているので部屋の中で料理をする事にした。

lunch

ランチの準備をするクルスンとラジー。

 今から料理教室を始めてみる。
メニューはバトゥー。正式名称、チャシャ・フード。
��.鍋にオイルを1/2リッターをひいて温める。
��.鶏のももを入れて火を通す。火がとったらももを取り出す。
��.たまねぎを切ってイエローになるまで火を通す。
��.塩1スプーン。
��.ミート・マサラ。

lunch

マサラ。

��.ターメリック・パウダー。

lunch

ターメリック。

��.あれば他にいろいろな種類のマサラをミックス。
��.上の材料をミックスして火を通す。
��.数分チキンをフライにする。(火を通す)
��.ダニヤ野菜を洗って切る。

lunch

ダニヤ。

��0.トマトを切る。
��1.水を1/2リッターボイルする。
��2.5分ほどチキンと野菜を入れてボイルする。
��3.ライスに出来上がっているソースとチキンをあわせる。

 こんな感じで料理をするのだ。なおこの通り作っても写真の通り出来るとは限りません。味は保証の対象外なのであしからず。

Bhaat

チャシャ・フード。

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